生きている意味

哲学はしたくない. しかし哲学はイコール人間の余力である. だから僕は哲学をする.
宗教もしたくない. しかし宗教は, 教祖と信者の関係性のある所に悪が生まれると思っている. 自分が教祖であり, 自分が信者というのは, 人間がそうでなければならない関係性だと思っている.

僕は, 生きている意味を考える事を一度は放棄した. 普通に生きようと思った. がんばって生きていた. けど, 肉体的に, セックスによってその事に惹かれざるを得ない状況になった.
ヒトは, 享楽的, 快楽的になればなるほど, 本当は生きている意味を考えるようになる. そうでなければ, 快楽に堕ちているとは言えない. 快楽を貪っているとはいえない.
滑っていく時間の中で神様に踊らされているだけである.

快楽を貪るとは, 昼間になってもそれに引きずられる事である. どうしてもそちらに堕ちていってしまう, その人生の状態である.

今まで大事だと思っていた, 様々な価値観が崩れ, 極端なまでに感覚的になっていく. 今までやってきた事が, 「表向き」になり, 裏向きの自分を考えるようになる. 社会から落ちそうになり, 昼間の自分でしがみつく. そしてしがみついた結果, 裏の世界と表が繋っているあたりまえの事に気付き, どこまでも混乱している.

そう, 僕は混乱している.

仕事をしてお金をもらっても, 何か人にしてあげて達成しても, 自分のやりたい事をやりきっても, 大人になった気などしない. 自分は分かっていないんだと思っていたけど, やはりそうではない. この何もない世界が, もともと僕の世界だったのだ.

そして君の世界.

何もない世界には, 僕と君のからだだけが存在する.

からだが存在し, こえやかたちが, そこにくっつく. からだはさまざまな形で交わる. そして感情が生まれる.

様々な人が様々な形で言っていた「二人の世界」というのはこれなのだろうか?

だとすれば, どうしてすばらしいもので出来ている人間は, これほどまでに社会で, 汚ないのだろう.

二人の感情は人間関係になり, 人間社会になる. 人間社会は様々な軋轢を生み, 病的にそれを加速する.

どうして元々は綺麗なはずだったからだが, 社会が生まれた事で汚く汚れてしまうのだろう. どうして人は人を殺そうと思ってしまうんだろう.

だからこそ, 二人の関係はどこまでも深く, 怪しく, 堕ちていく事に何の抵抗もない, そういう事なのか.

セックスの時に, 二人ともどこかへいってしまう. 結局男も女も同じだから, 同じように感じ, 同じようにあえぐ. 視界が白くなり, 最後には失神してしまう. つまり, 生きながら死ぬ. 生や死を, 強く意識するようになる.
この事を繰り返すうちに, どうして人は簡単に死んでしまうんだろう, という事を考えるようになる.

テレビによって客観的にしか情報を見れない状況で, 「殺人」「幼女誘拐」「詐欺」「詐称」. 言葉が表象するあれこれは, すべて意味などない気がしてくる. もしその中に自分の精神が飛びこんでしまえば, おそらくすべて理解できる.
幼女を犯して殺す男の心理も,
買春をするティーンエイジャーも,
麻薬をやめないジャンキーも,
子供を誘拐する孤独な男も,
すべての犯罪者の心理は理解できるような気がしてくる. だがこれを普通はしない. それをする必要もないし, 堕ちていく人の心理など難しいようで, 実はまったく単純なものだからだ.

「安心して堕ちていく心理」正しい快楽というものがあるとすれば, これが快楽なのではないかと思う.

僕は全うに生きてきた. 自分の心に反する悪い事はしない. ちゃんとしつけられたおかげで, 反社会的な事には興味がない. "常識的な" 人間が身を守る行動が, 僕にとってどこまでもおっくうなので, こんな人間にはとことん常識的に振舞うようにしている. 非常識にはどこまでも憧れる. びっくりするような事をたまにやりたいと思っている. でもそれは, おそらく面白い事ではない. 車で暴走したり, 逆に禁欲的になったり, まともに暮らしていこうなどと思ったり, そういう事ではない.

例えばインスタントな快楽のために薬を使う. 反社会的行為である. その時点で魂が腐ってしまう. 世界のいろいろなものが, ルールを破る事さえ出来ない軟弱者に見え, 綺麗なものが綺麗に見えなくなる. 歪んだ美術や, 歪んだ犯罪に同化し, そういう人々や行為に同化をするようになる. こんな人間達の行動は, 浅はかで考えがない. 過去もなければ未来もない. 納得出来る感情の論理もない. ただ思った事をそのまま表現する, でたらめな表象があるだけだ. 簡単に理解出来るし, おもしろいとは思わない.

興味のあるのは, どこまでも魂の綺麗なものが作り出した, 思想や芸術である. 何にも頼る事がなく, 個人が自らで生みだした生きている事の証明である.

不道徳や美徳, 人徳, 人権, 犯罪, 犯罪心理そんなものには興味が分かない. 人間が生きている, その向こう側に行きたい.


><