女に溺れろ

身を崩さぬ為には、「女には溺れるな」とよく言う。
僕は、セックスには溺れたほうがよいと思う。
常々、僕は何にでも悉く溺れるべきだと思う。
人生という海は、溺れないとその美しさを目の前に表さない。
いつまでも浮き輪でプカプカしていては、海の底を見る事は出来ない。
「一生懸命やる」なんて窮屈な言葉より今に近い感覚が、溺れる、とう言葉にはある。
人生を楽しむためには、仕事に溺れるべきだし、遊びに溺れるべきだし、ナンパに溺れるべきだし、勉強に溺れるべきだし、音楽に溺れるべきだし、水泳は溺れかけて覚えるものだ。度を超すと反社会的になるが、なんにでも度を超してしまうものはいる。
そしてセックスほど溺れても溺れても息が切れないものはない。
自分のものとは違う静電気が普段眠っている神経を呼び起こし、快感が電気信号となって脳に送り続けられる。汗の臭い、唾液の臭い、血の臭い、尿の臭い。「五感」という認識が消え、すべて感じるものを脳で処理しきれず、理性がふっとぶ。
身体はただ単にモノとして存在し、溢れでる男と女のあえぎ声、うめき声、けものの声。
そして耐えまなく訪れるオーガズムという、死と隣合わせの危険信号は、脳がストップしてしまうまでその電圧を下げない。
もうダメだ。耐えられない。

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